48 分子科学研究所の概要
学術創成研究費
「新しい研究ネットワークによる電子相関系の研究
―物理と化学の真の融合を目指して―」
平成14年度からスタートした本学術創成研究では,分子科学研究所・高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研 究所・東京大学物性研究所・東北大学金属材料研究所・京都大学化学研究所の5研究所が一体となって強電子相関系 をキーワードにして,電子の遍歴性に基づいた従来の物性科学から脱却し,強い電子間の相互作用によって電子の運 動に相関を生じるような強相関系の多様な物性の解明を目指した研究のネットワークの構築を目指した活動を行って いる。研究リーダーは分子研所長の茅幸二で,リーダーの下に5つの班が組織されている。1班は強相関物質班で,新 規な物性を持つ多機能強相関電子系の創成を目指し,2班は複合ナノ構造物質班として,ナノサイズ分子系および界 面ナノ構造物質の創製,構造解析および機能制御を行う。3班は構造・物性解析ネットワーク班で,特殊大型装置の 遠隔操作による研究室の枠を越えた物性評価システムの構築を行う。4班は 計算機ネットワーク構築班で,各研究所 のスーパーコンピューターの並列使用による巨大分散並列計算機の構築とそれによる強電子相関物質の機能設計を目 指す。これに関しては今年度新たな動きがあり,この班が中心となって新たなプロジェクトが生まれた。5班はヒュー マンインターフェース(HI)構築班で,多対多の研究者間のネットワークによる緊密な協力体制の構築を行っている。
今年度はコラボラトリーや5研究所の中間評価の年で,7月1日に評価委員が分子研に来られ,5研究所をテレビ ネットワークで繋ぎながら,物構研の放射光施設にある装置を分子研から操作するコラボのデモを行なうと共に,成 果報告などが現地の各研究所から行われるという,本研究の成果が新しい形で示された。この中間評価は大変高い評 価を受けた。また,国際交流を積極的に進めるようにとの助言があった。各班の活動としては,第4班班会議が6月 5日,6日に東京大学理学部4号館で行われ,第2班班会議が9月19日,20日に滋賀県大津市KKRホテルびわこで開 催された。また,第4回若手の会が物構研の宮内洋司教授を迎え10月9日,10日とKKR伊豆長岡千歳荘で開催された。 平成15年度の全体会議は,2月26日から28日に琵琶湖ホテルで開かれ,かなり深い議論が行われた。
コラボの精神を広げる目的で,12月4日から7日に台湾大学で今年度の合同シンポジウムのハイライトともいえる
“Japan-Taiwan Joint Seminar—Towards Formation New Network between Physics and Chemistry—on the Frontiers of Material Science” が開催され,日本側及び台北側共に約50名づつ,合計100名という規模の参加者が集まった。多くの発表者の
講演時間は20分から30分と短いものであったが,放射光実験からナノテクノロジーに至る幅広い内容で,大変意義深 い交流の場を持つことが出来,共同研究の芽をつかむことも出来た。
来年度は4年目に入ることもあり,これまでの実績を振り返りつつ,更に成果を生むために,1月14日に東京で総 括班等会議が開かれ,新プログラムの発展的改編について話し合われ,琵琶湖での全体会議において,再編成が認め られた。これによって,更に体制が強化されるであろう。